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ご挨拶


 平成16年からNPO法人日本シーティング・コンサルタント協会の学術研究事業の一つとして、セラピストやエンジニアなどをはじめとする多職種によって構成された座位姿勢計測プロジェクトが始まった。

 当初、英文で記載された膨大な量のISO16840(座位姿勢の表現方法を規定した国際標準規格:当時はFinal Draft段階)の翻訳と、なじみのない複雑な表記方法に戸惑い、我々研究チームは、開始直後からイバラの道に突入した。会議が終わると全員疲労で口数も少なく、ぐったりしながら国立障害者リハビリテーションセンターの門を後にしたものだった。回を重ねるうちに、座位姿勢計測に魅力を感じ始め、共に困難を経験したメンバーにはいつしか奇妙な連帯感が生まれていた。座位姿勢計測という、ともすればマイナーだった分野が、最近は日本シーティング・シンポジウムのセミナーに取り上げられるなど、少しずつ世の光が当たり始めているような気がする。

 ISO16840による座位姿勢計測については、アメリカなど様々な国において検討されたが、その技術や運用方法については、日本チームが最も進んでいるといっても過言ではない。その、世界に通用する日本の計測技術は、2007年にアメリカのフロリダで行われたシーティングの国際学会である「23rd International Seating Symposium」において、専門家に対する教育コースとして提供され好評を博した。さらに2009年の「25th International Seating Symposium」でも紹介する機会をいただいたことは大変名誉なことである。

 いま、さまざまな場所でシーティングという言葉が聞かれるようになり、改めて座位姿勢計測の重要性を感じる。姿勢保持のための道具やクッションの有効性がうたわれているにも関わらず、数値を用いた客観的な評価はほとんど見ることができない。姿勢に対して介入をおこなうとき、介入前と介入後の変化こそが介入の効果であり、それを客観的な指標で表現でき、また評価できることが望ましいと思っている。

 座位姿勢計測というものは、未だ完結されない未開の分野であるが、姿勢を科学的に評価する上では必要不可欠であるISOという国際標準規格が採択され、姿勢計測技術にある程度目途がたってきた今こそ、客観的な評価の重要性を訴えたいと思う。姿勢は、筋骨格系のアライメントはもとより、循環や呼吸、嚥下など多くのファクターを包含した非常に複雑な体系の集合体である。

 嚥下と姿勢、呼吸と姿勢、循環と姿勢などの今までできなかった評価や研究が現実性を帯び、これに興味を持ち、関わりたいと思う専門家をサポートし、この分野の発展に期したいと願いをこめてこの研究会を主宰いたしました。

 当初、非常にマイナーであったこのプロジェクトが研究会として活動をおこなうことができるようになったのも、関係した皆様の理解とサポートのおかげであると感謝しております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。



                                              平成21年1月24日
                                               座位姿勢計測研究会

                                                 代表  廣瀬秀行

                                                 副代表 見木太郎

                                                 副代表 半田隆志

   


 

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